『超新撰21』かくかくしかじか情報付き
・・・高山れおな
六月二十七日(日)
豈weekly第九十七号用に、土曜夜から書いている「後藤貴子句集『飯蛸の眼球』を読む(後篇)」の執筆、日付変わっても終わり見えず。やむなく追加アップの旨、「あとがき」に記して寝ることにする。金曜日に職場の送別会があり、帰宅後つかいものにならなかったのが痛かった。
「週刊俳句」はいつも通り、日付変更と同時に更新。なんと、上田信治氏による「テン年代の俳句はこうなる 私家版『ゼロ年代の俳句100句』」が載っている。もう少し時間かかるかと思っていたが早い! 髙柳克弘選ゼロ年代百句、高山れおな改選版ゼロ年代百句を受けてのものだが、ゼロ年代の俳句によってテン年代の俳句の傾向を占うという趣向がすばらしい。しかも、百句をただ並べるだけでなく、有り得べきテン年代俳句を五項目に分類するというのだからスリリングだ。その五項目は、
◆過去志向=擬古典 ロマン主義 ノスタルジー 反時代性
◆超越志向=強度重視 精神世界 「前衛俳句」的
◆表面性=内面・物語の拒否/崩壊 ミニマリズム 超ただごと 遊戯性
◆私性=ノーバディな私による「私」語り
◆説話・寓話性=一回転した内面 一回転した物語性
超越志向の枠の中に、「『前衛俳句』的」という細目が、ある種の様式性を示す用語として辛うじて残っているが、全体に伝統/前衛のような硬直した二元論から離れた緻密な思考が感じられる。これからはこうでなくてはなるまいと存ずる。しかし解説を読んだところで力尽き、選出作品は出力を持ち歩いて読むことにする。
昼頃起床。午後二時、新宿歌舞伎町の珈琲茶館「集」で、詩人の森川雅美氏が招集した会合に顔を出す。自由詩・短歌・俳句合同でのシンポジウムや懇親会、出版の計画についての最初の打ち合わせ。詩人の野村喜和夫氏、短歌の江田浩司氏などが出席している。俳句からはわたくしからお願いして磐井師匠にも御出馬いただいた。三詩形合同企画というのは結構なようだけれど、例えばシンポジウムをするにしても、お互いのジャンルのことは結局よくわからないわけで、そのため遠慮しあい、礼儀正しく互いの垣を守って話をしてもつまらないし、この種の企画は実際そうなりがちである。そこをどうクリアしますかと意見を述べる。日程のことその他、細かい話もいろいろ出る。
夕方帰宅して後藤貴子句集評のつづき。草木も眠る丑三つ刻、なんとかオチをつけて書き上げる。そもそもこの原稿、前後篇に分け、それでも難渋したのは、書こうと思っていた週に、急にゼロ年代百句改選版を作ろうなどという気を起こして、そちらに先に手を付けてしまったためでもある。執筆の間合いを自分で外してしまったのだから世話はない。
六月二十八日(月)
もちろんお仕事の日。画家・池田龍雄氏のインタヴュー頁のレイアウトの打ち合わせを、デザイナーと十一時半からやる約束だったのだが、よく考えると編集長との打ち合わせを済ませていなかった。慌てて夕方に時間を変更してもらう。
鎌倉国宝館で開催中の伝祥啓筆観音図の展覧会についての原稿を、山下裕二氏より頂戴する。この観音図は三十二幅一具で、関東水墨画の重要な作例なのだが、これまであまり研究が進んでいなかったところ、鎌倉国宝館の村野真作氏が画風分類に着手し、その成果を反映しての展示がなされたのである。地味な絵ながら、個人的にはかなりぐっとくるものあり、山下先生に展覧会を見ての印象を書いていただいたもの。山下さんは専門家だからもちろん所蔵先の建長寺の宝物風入(虫干し)で見たことがあり、その折の話を織りまぜた楽しいエッセイになっている。深謝。
そういえばこの日、朝日新聞の俳句時評、三回目の掲載。再校ゲラのやりとりがうまくゆかず一抹の不安を抱いていたのであるが、確認したところ、ガーン……最終センテンスに衍字を発見。初校ゲラに入れた赤字は正しい形になっておるよ。俳句作品の誤記ではなし、なんとはなしに読み流してしまうような誤り(だから校閲者も見落としたんだろうね)であるから、ま、いいんですけど、いちおう担当者にメールを出しておく。ちなみにこの回は、「田中裕明賞の情景」と題して、しかし受賞者の髙柳克弘氏のことではなく、次点の斉木直哉氏と後閑達雄氏について書いたのである。髙柳氏の『未踏』については当ブログで一年前にすでに論じているためであるが、斉木氏の『強さの探求』、後閑氏の『卵』の両著が次点になったこと自体とても興味深いのだ。どう興味深いかは朝日新聞をお読み願います。それはそうと(やや旧聞に属しますが)、『未踏』に俳人協会新人賞を獲らせなかったお爺ちゃんたちの集合無意識(と申しますか阿吽の呼吸?)って凄いよね。わたくし、ふんとにびっくりしましたですよ。マンガですわ。
六月二十九日(火)
当然ながら今日もお仕事の日。十一時から、新しくオープンしたばかりのアートスペース、3331Arts Chiyodaを取材する。秋葉原電気街から徒歩七、八分、地下鉄銀座線末広町駅から徒歩一分という便利なロケーション。二〇〇五年に廃校になった練成中学校を、ギャラリーコンプレックスなどの機能を備えたアートセンター(引っ越し屋ではなく)として蘇らせたもの。中学校の隣にあった練成公園と敷地を地続きに改装して、練成公園を前庭のような感じにしてある。二十六日土曜日にグランドオープンのセレモニーがあり、その日は家人と息子を連れて下見に行き、本日カメラマンと出直した次第。東京都現代美術館にせよどこにせよ、日本の美術館って足場が悪かったりなんなりで、若い人が滞留するようなスペースになっていないのであるが、ここは上記のような立地からしても、良い意味で溜まり場化する可能性ありと見た。プチ・ポンピドゥーセンターみたく発展することを祈りたい。
午後から展評欄の会議。今月はわたくしの担当である。これまでの二年間で、ブログの執筆が滞った時期が何回かあったが、ひとつは巻頭特集の担当になった時で、もうひとつは展評欄の担当になった時なのである。というわけで、この頃、追加アップが多かった原因はこれなのです。展評欄のラインナップであるが、ネパールの骨董が一件ある他は、国内の中堅若手作家の個展ばかりになってしまった。こんなことは十数年来で初めてのような気がする。わたくしがボケていたのか、状況のベタな反映なのか。ある新人写真家の扱いをめぐって、編集長といささか議論あり。
さて、上田さんの「テン年代の俳句はこうなる 私家版『ゼロ年代の俳句100句』」に、感想のコメントを付けようと何度かチャレンジするも機械に拒否されてうまくゆかず。やむなく、簡単に感想を記した葉書を上田さん宛てに出す。上田版百句選は、すでに述べたような趣向においてまずは際立っているわけであるが、選句そのものを見ても、髙柳版・高山版とは全くおもむきを異にしている。髙柳氏はともかく、わたくしはある意味、自分で選句していないのである。わたくしの百句選の検討篇を見ていただくとわかるが、「世評の高い句」云々の文言が何度も出てくる。要は、高柳氏の選でいいと思えばそのままにしているし、差し替える場合でも、俳句界が秀句と認定した句が存在し、かつそれに自分が納得できる場合はそうした句を優先的に選入しているのである。なぜそうなるかというと、今回の百句選に際してのわたくしの目標が、あくまで髙柳選を土台にして、短歌百首選に対抗して強度を上げてゆくというシンプルなものだったからである。上田氏はそこは全然違っていて、百パーセントとはいわないが、九十五パーセントくらいまでの句は、徹底的に“上田信治の眼”によって選ばれている感じになっており、結果的に当方の記憶にない句がはなはだ多い。そしてそれらがまたほとんどの場合、ふーむこんな句がありましたか的な面白いものなので唸らさられる。
本年十二月刊行予定の『超新撰21』の公募枠二名の選考会の日が近づく。すでに一週間以上、百句×六十三篇=六千三百句の候補作を読み続けているが、この日、三編者(筑紫磐井・対馬康子・高山れおな)のそれぞれが推薦する五篇内外の作品を集計したリストが、版元の邑書林から届く。わたくしは六十三篇全部を◎○△×に四段階評価して、ひとことずつコメントを付けた一覧を作ってみた。そのうち◎とした十五篇は、高山の個人的一次予選通過作品ということになろう。ところがところが、磐井師匠推薦の五篇はその◎十五篇とすら一篇も重ならないのである。対馬さん推薦の六篇とは三篇が重なっていて、ほっ。ただし、小生がさらに五篇にしぼって邑書林に通知した推薦作となると対馬さんとの間でも重なるのは一篇のみ。また、筑紫推薦五篇と対馬推薦六篇の間でも重複はない。お二人はベテランであるが、わたくしはこの種の選考は初めての経験ゆえ、選の重ならないことにかなりショックを受ける。当然、みんな単に自分の好みを申し立てているわけではなく、いちおう、客観的価値というものを意識しつつ選に臨んでいるわけであろう。それぞれが抱く客観的価値にずれがあるのはやむを得ないが、ずれ過ぎだろ、とこう思ったわけである。誰が悪いわけでもないのだけど、難しいものですねえ。
この夜、家人はもちろん日本・パラグアイ戦をテレビ観戦しておりましたが、当方はそんなこんなで自室で俳句漬け。夜中に気分転換に、自宅マンション前の公園に出て煙草を吸っていたら、マンション二階のCさんの家の開いた窓から「ぎゃー」という悲鳴が一声だけ聞こえた。この瞬間、全国津々浦々で同じ現象が起こっていたのでありましょう。
六月三十日(水)
まだまだお仕事の日。あたふたするうちに日が暮れる。思いたって、椹木野衣氏の『反アート入門』(幻冬舎)のレヴューを書いてしまうことにする。ごく短い原稿とはいえ難物の予感。が、書き始めると意外にすんなり書けてしまった。会心の出来とは申しかねるものの、いちおう見当外れの内容ではないと信ず。
七月一日(木)
まだまだまだまだお仕事の日。イラストレイターのT氏、御来駕。三年来、個人的に撮りためている写真作品についての相談。とりあえず、プレゼン用に作品をお預かりする。夕方から今月最難関の、池田龍雄氏のインタヴュー記事の纏めに入る。ガマの油のごとき汗を流しつつテープ起こしを読む。六月十九日土曜日から山梨県立美術館で池田さんの回顧展がはじまったのであるが、そのオープニングのイベントとして池田さんの友人である田中泯氏がダンスを披露した。その話から書き始めたのだが、トータルの文章量に対してその部分が長すぎ、池田龍雄の記事なのか田中泯の記事なのか、わけがわからなくなってくる。
七月二日(金)
この日もあたふた原稿書きその他で日が暮れる。池田龍雄氏インタヴュー、なんとか半分まで来て見通しが立った。そこで夕方となり、勤め先を出る。
六時半から上野の東京文化会館第三応接室にて、『超新撰21』公募枠二名の選考。東京文化会館の中に、こんな秘密の小部屋があるとは知らなかった。邑書林の島田牙城氏と、編者三名が顔を揃える。磐井師匠がやや遅れるとの話だったのでゆっくり出掛けたのだが、結局、わたくしが最後に到着。
しばし歓談ののち、高山・対馬・筑紫の順で、それぞれが推す作品について推薦の弁を述べる。ちなみに、この段階では六十三名の作者名は伏せられており、作品到着順の通し番号と作品タイトルで識別されている。といっても旧作可の百句であるから、当然、作者名がわかってしまうケースもある。ちなみにわたくしは八名を認識した。対馬さんは二名だったか。師匠は一人もわからなかったと豪語していた。とはいえ、作者名がわかるわからないは推薦にはほとんど影響しない。この段階での三人の推薦作は下記の通り。
1番 鶏眼
4番 水面の水
15番 咀嚼
17番 手毬歌
20番 水のある
22番 ジュラルミンケースを開けて
27番 南紀
30番 草
35番 青史
42番 反魂丹
48番 芹の部屋
55番 花のゆくへ
56番 川のあかり
60番 テレビショッピング
62番 ザ・ヘイブン(The Haven)
選考はわりにさくさくと進んだ。高山・対馬が62番イチ押しで一致しており、筑紫が48番イチ押しだったからだ。互いの推薦作については全て読み直しをしてきているわけであるが、それによって意見が大きく変わった人もいなかったようだ(ただし、48番についてのわたくしの評価は、△→◎とはなった。初読の時は疲れていたのだろう)。62番有利のうちに、高山は42番も強く推したものの、弱点をつかれると支えきれず。
問題は62番が、推薦した二人ですら、これは俳句ではないのではないかと躊躇いを覚えるような作品だったことである。百句を読むとかなり明確な作者像が浮かんでくるタイプの作品で、書いてあることを文字通り作者自身の姿と受け取ると、かなりエキセントリック(というか古語にいうところのアプレゲール?)な若い女性作者がイメージされる。こういうとみなさん、先日、芝不器男俳句新人賞を獲った御中虫さんを連想するでしょう。まず、わたくしがそうでした。
しかし、よくよく読み比べてみると違いもあって、御中さんの百句は言葉が非常に不安定なのである。大当たりの凄い句と、かなり子供っぽい言葉遣いの句が入り混じっており(その不安定さが魅力、でもあるわけですが)、それでいていかに破調があっても全体としてこれは俳句ではない、とまでの感じは抱かせない。それに対して62番は、これは俳句ではないのではないかと思わせるような文体を採用する一方で、言葉のコントロールという点では水準がとても一定しているのだ。そこでわたくしは、これは五十近いベテランの男性作者が、ギミックとして、若い女性を作中主体として仮構した連作を試みたのではないかとの疑いを抱くにいたった。なぜそこまで気が廻ったかというと、自分がそういうことをしてみたいと考えていたからである。そして疑った末、作者がほんとに若い女性でも、あるいは中年男によるギミックでもどちらでもよしと考えて選考に臨んだのであった。その他、議論はいろいろあったが、ともかくも公募枠は48番と62番に決定。ここで牙城氏より作者が明かされた。
48番は、「海程」「舞」所属の小川楓子氏で二十七歳。もともと入集作者の小野裕三氏の小論をお願いしていた人だから、最初からご縁はあったというべきか。六十二番は、無所属の種田スガル氏で、二十四歳。ギミックは考えすぎだったようである。入集作者では、大谷弘至氏が三十歳で最年少だったのであるが、公募枠二つが共に二十代女子によって占められるとは意想外のなりゆきであった。応募六十三名のうち、二十代の作者が四人しかいなかったことを考えればなおさらである。なお、先ほど話に出た42番「反魂丹」は、湊圭史さんの作品だった。さて、これで全て確定した『超新撰21』の入集作者、作品名、小論筆者は以下の通り。掲載順(若年順、予定)に掲げる。
種田スガル ザ・ヘイブン(The Haven)
無所属 小論=高山れおな
小川楓子 芹の部屋
海程・舞 小論=筑紫磐井
大谷弘至 極楽
古志 小論=高柳克弘
篠崎央子 鴨の横顔
未来図 小論=中島信也
田島健一 記録しんじつ
炎環・豆の木 小論=三宅やよい
明隅礼子 みづのほとり
天為 小論=髙田正子
ドゥーグル・J・リンズィー 涅槃の浪
芙蓉 小論=岸本尚毅
牛田修嗣 千夜一夜
狩 小論=庄田宏文
榮猿丸 バック・シート
澤 小論=さいばら天気
小野裕三 龍の仕組み
海程・豆の木 小論=小川楓子
山田耕司 風袋抄
円錐 小論=四ツ谷龍
男波弘志 印契集
無所属 小論=黒瀬珂瀾
青山茂根 双塔の雫
銀化・豈 小論=山西雅子
杉山久子 光
藍生・いつき組 小論=山根真矢
佐藤成之 光棲む国
小熊座 小論=和合亮一
久野雅樹 バベルの塔
天為 小論=依光陽子
小沢麻結 花蜜柑
知音 小論=藤永貴之
上田信治 上から下
里・ハイクマシーン 小論=佐藤文香
小川軽舟 ラララ
鷹 小論=関悦史
柴田千晶 モンスター
街 小論=松本てふこ
清水かおり 相似形
川柳木馬ぐるーぷ・バックストローク・
Leaf 小論=堺谷真人
さて、選考会のあと、わたくしはすぐ勤め先に戻って、池田龍雄インタヴューを書き上げるつもりであった。ところが、当日ジャカルタから帰国した西村我尼吾氏が、受付で待っているというのである。こうなるととんずらこくわけにもゆかず、一同で食事をという流れに。なんですか、山形牛の店でしたよ。話題は俳句のこと、それから我尼我氏がプロデュースして、明後日日曜日に奈良で開催される東アジア各国の文化人の交流イベントについてなど。磐井師匠は、そのイベントにも出席するらしい。ビール何杯分かのダメージを受けて十一時頃帰社。それでもゴールは見えている、朝の四時までには終わるだろうと予想を立てるが、だめだ~、全然能率あがらん、むにゃむにゃとソファーに沈没。
七月三日(土)
一度起き、書いては沈没し、ふたたび書き……と亀の歩み、牛の歩みの末、やっとのことインタヴュー原稿を脱稿する。朝の四時で終わるつもりがすでに午後四時。脱兎の如く品川へ向かう。五時からホテルパシフィック東京で、「澤」の十周年大会の祝賀会があるのだ。
この種の大会にお呼びがかかったことは何度かあるが、これまで出席したことはなかった。わたくしの頭ではパーティーというのは会費制かタダかのどちらかであり、「澤」の招待状には会費のことは書いてなかったのでつまりタダだと思っていたのである。しかし、結社文化に無知なわたくしが知らなかっただけで、こういう場合には御祝儀を包むのだそうですね。前夜、磐井師匠に教えて貰ったお蔭で恥をかかずに済みました。持つべきものは師であります。
それはともかく、前日来、家に帰れなかったため、タンクトップに半袖シャツを引っ掛けただけの格好なのはまずかった。写真撮影を担当するスタッフなどは別にして、当然みなさんスーツか少なくともジャケットを着ている。何百人かの中でわたくしがいちばん軽装だったのであるが、上に記したような次第で御海容を請う次第なり。知った顔、はじめての人、いろいろな方にご挨拶できました。活気のある結社らしく、雰囲気の良い会でした。俳歴二十年、不惑を超えて初めて知る結社の味でございます。小澤さんは、招待客をひとりひとり会場に紹介する際、「〇〇さんは、僕が前の結社を辞めた時……」を連発していた。半分は笑いを誘うためであろうし、半分は苦難の時に力になってくれた人への衷心からの感謝なのであろう。
七月四日(日)
じつは今日も仕事。昼頃出社してあれやこれや。午後一時半、カメラマンと一緒に車で、埼玉県入間郡三芳町のカイカイキキスタジオに向かう。そこではアーティスト村上隆こと世界のムラカミの身に一大事が起こっていたのであるが、興味のある人は七月二十四日発売の「芸術新潮」八月号を見られたし。さて、取材が終わり、東京に戻る車中、夜七時半頃だったか、磐井師匠から携帯に電話。あちらはあちらで、例の奈良のイベントから帰る新幹線の中だという。それは『超新撰21』をめぐる、驚天動地、泰山鳴動、せんとくんもびっくり――小説よりも奇なる新事実を告げる電話だったのであるが、今は公開をはばかります。そんなら書くな? いや、ごもっともごもっとも。ともあれ凶事ではなく椿事なので、ご安心願います。
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