2010年3月8日月曜日

セレクション俳人を読む はじめに

「セレクション俳人」を読む
――はじめに


                       ・・・藤田哲史


今回からこの誌上で邑書林のセレクション俳人シリーズを一冊ずつ読んでいく企画がスタートする。担当するのは、外山一機と藤田哲史。隔週交代での、全十八回の連載となる予定。

この企画においてセレクション俳人シリーズの一冊一冊は、いわば俳句についての論考の「種」である。そして、論考となるにせよ作品となるにせよ、次なるものを促すという点において、これらの「種」は、今に生きながらえている数々の古典と全く等しい存在である。書かれてゆく作品は、我々にもっとも近しい古典として存在している。古典となりうる作品が消滅しないように読む行為はあるし、逆に言えば、読まないことは俳句形式の不在を示すための積極的な行為でしかない。

これからここで書かれることは断片的にせよ、たしかに今俳句形式が存在している証拠でもあるし、古典とこれからの古典とのジョイントでもある。


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