2009年4月5日日曜日

あとがき(第33号)

あとがき(第33号)



■高山れおな

関悦史氏の「閑中俳句日記」、新連載で登場です。第一回は永田耕衣最後の句集『自人』をとりあげていますが、久々に纏まった数を読んだ耕衣俳句のもの凄さに圧倒されました。我が身を省みて、少々自己嫌悪に陥ったことです。

なお、関さんは、今夏発行予定の「―俳句空間―豈」第四十八号より豈に同人参加します。また、このほど第十一回俳句界評論賞の受賞が決まりました。テーマは田中裕明論。「俳句界」六月号で発表されるとのことです。おめでとうございます。

恩田侑布子氏の連載「異界のベルカント」は、まだ八回目に過ぎないのですね。毎回の濃厚さにもっとたくさん読んだような気がしていました。前回は旅の記でもあったわけですが、今回は旅は旅でも時間の旅。モノの記憶を描いた好随筆になっています。

五人のメンバーによる「遷子を読む」は、直球勝負といいますか、生老病死の問題にがっぷり四つに取り組んだ重厚な連載となりつつあります。

青山茂根氏は久しぶりの登場。豈同人・中山美樹氏の新句集『Lovers』について書いてくださいました(書誌は「豈同人の出版物」欄参照)。その文中でも触れられていますが、『Lovers』は珍しい横組みの句集です。これはもちろん美樹さんの思いつきで、私もちらと相談を受けましたが、やってみたらどうかと煽ったような記憶があります。

『Lovers』の装丁はグラフィックデザイナーの日下潤一氏。私の二冊の句集の装丁もこの人でした。その経験はあるとはいえ、俳句を横組みにするのには相当てこずったと聞いています。日本語とりわけ俳句のようなものは、縦に組んだ方が収まりがいいに決まっています。そこを敢ての横組みにしているわけです。正方形に近い版型、細いゴシック系の書体(游ゴシックStd L)の選択、俳句を小口側を揃える形にするなど、横組みを可能にするための工夫が随所に見られますが、こんどの本のデザインを魅力的にしているのは、なんといっても霜田あゆ美氏による大量のイラストレーションでしょう。カヴァーや扉でしっかり描きこんでいる他、すべての見開きにカットが入っています。これによって横組みの間延びした印象を払拭することに成功しています。もし今後、横組みの句集を作りたいと考えている人がいれば、こと組版・装丁に関しては、必ず参照すべき出来栄えかと思います。もちろん、中身もとても良い句集です。

冨田拓也氏の「俳人ファイル」は、はや22回を数えます。今回は寺井文子。うう、中田有恒に続き、名前も知らない俳人の登場です。

お蔭様で今号も充実した原稿が揃いました。高山は仕事の荒波に沈没しました。来週は復帰したいと思います。



■中村安伸

今号も私の記事はお休みさせていただきます。ご了承ください。


3 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

表紙の写真、ミゴトなサクラですね。どこに咲いているのですか?生駒自宅周辺も昨日今日満開です。奈良公園は今年はまだ行ってませんが。

ここしばらくは、こめんとで。
ここには関係ないことで、少し考え込むことがあって・・また投稿します。
みなさん、書かれているものはなかなかおもしろいですよ。
関さん、入党いや入会大歓迎です。
 「俳句空間ー豈」同人という自覚はどいういうかたちで生まれるのかというと、自分の心の内に自分は「豈」なんだ、そう決めることでしか立てない何か、それを発見することです。バリアフリーだから、自立の責任を自分でとらなければいけない、なかなかむずかしいですよ、でも、わたしは、ここはやはり真性の同人誌の場だ、とおもいますね。ともかくよろしく。

中村安伸 さんのコメント...

吟さま
コメントありがとうございました。
表紙の写真は谷中霊園の桜です。ただし5年前に撮影したもの。
今年の桜は次号に掲載予定です。

関悦史 さんのコメント...

吟さま

また遅くなりましたが、よろしくお願いします。
入党ですか(笑)。
どちらかというと、縁とか恩義とかでここまで来てしまった感じです。