■あとがき(第29号)
■高山れおな
豈weeklyシンクロニティの法則により、拙稿でたまたま恩田侑布子句集『空塵秘抄』に言及したところ、江里昭彦さんより同書の書評が届きました。江里さんも私も、この句集におおむね同じものを見ているにもかかわらず、結果としての評価にはかなり差があります。たとえば、この句集にある富士山を主題とする連作に私はあまり感心しませんでしたが(私としては富士ならぬ藤の連作の方が良いと思いました)、江里さんは高く評価しています。その高評価には賛成しかねるものの、背後の意図を読み取る江里さんの論述はとてもすぐれています。また、恩田さんの俳句を離れても、俳句をつくる者の心構えについて、たいへん参考になる意見が述べられています。
もうひとつの豈weeklyシンクロニティの法則は、“相馬遷子”。今回、冨田拓也さんが「俳人ファイル」でとりあげておりますが、じつは最近、筑紫磐井氏が当ブログへの執筆を休んでいたのは、相馬遷子についての連載の準備のためだったのです。なんたる偶然であろうかと、当方ひとりで興奮しているところ。連載は来週か再来週あたりにはじまりそうです。
理論家・鑑賞家として関悦史さんがすぐれているのは先刻承知しておりましたが、名レポーターでもあったとは意外な発見。二月十六日月曜日に東京・目白の椿山荘でひらかれた正岡子規国際俳句賞の受賞者講演会の報告で、当日の様子がまことにいきいきとつたわってきます。この講演会、私も行きたかったのに、仕事を休めない日であったため断念したのでした。関さんのお蔭で、いささかかつえを満たすことができました。
■中村安伸
・安井浩司氏の近刊『海辺のアポリア』を読んでいます。
知らず知らずのうちに、自分自身の考えに枠をはめてしまっていること、そして浅いところまでしか考えを進めてこなかったことなどを痛感しています。
・高山氏があとがきでシンクロニシティーについて述べておられますが、今号の高山氏の記事と拙記事のタイトルもなんとなくシンクロしているような気がします。そういえば冨田氏の記事中にも「白」について述べた部分がありました。
・私を含め、多くの俳人たちに多大な影響を与えてきた、阿部完市さんが逝去されたということを先週知りました。謹んで哀悼の意を表します。
2 件のコメント:
筑紫さんが相馬遷子について書かれることになっていたのですか。
今回も早めにとりあげておいてよかったな、と思いました。
そうなると、私の今回の内容は軽い見取り図のようなものということになりそうですね。
遷子の「昨日獲て秋日に干せり熊の皮」は「奥秩父栃本」ですから、関さんの文章における金子兜太のスピーチの内容ともシンクロしているようです。
佐藤さんの句集についてですが、随分しっかりと構成が練られていたのですね。私も何度か読んでいたのですが連作となっているとは気が付きませんでした。時間が重層されていたわけですね。
杉山久子さんの句集も連作の面白さがありますね。今回の句集と「春の柩」はまだ本格的な句集ではないはずですので、杉山さんの第一句集の完成がいまから楽しみです。
阿部完市さんが亡くなられたとのことで、いままでいま一つしっかりとその句業を読んでこなかったことが、悔やまれました。
なんだか全体的にいい加減な内容となりましたが、とりあえずコメントしておきます。
冨田拓也様
筑紫さんの連載計画について具体的に知ったのは小生もつい最近です。楽しみに待ちましょう。
佐藤さんの作品は、当初から連作だったというようりも、連作的に読めるように編集されているということかと思います。
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