■あとがき(第44号)
■高山れおな
前号で冨田拓也さんが休載を連絡するメールをくださった時、特に理由は記してなく、体調が悪いとかそういうことでもないなら、そうか対象が大物で読みきれなかったのだなと推測しておりましたら案の定でした。「俳人ファイル」は何しろ一週間でひとりの俳人の作品を読み上げるのですから、たとい比較的寡作の作者でも時間的にはいつもぎりぎりの綱渡りなのではないかと思います。長命多作の作家となるとその大変さは想像を絶しております。まして今回の臼田亜浪は、韻律に独自なものがあり、ある種の花鳥諷詠作家のようにすらすらと流れるように読むわけにはゆかないようです。ご苦労さまでした。高山は、角川書店の『現代俳句大系』第七巻に入っている『定本亜浪句集』を読んで退屈だと思って済ませておりました。しかし、今回の冨田さんの紹介によって、魅力的な句が多くあるのを改めて知りました。感謝に堪えません。
大雷雨悠然とゆく一人ありぬ 亜浪
ほんとにそんな感じの連載になっております。
当方は、金子兜太『日常』、坪内稔典『水のかたまり』、長谷川櫂『新年』『富士』――ボスキャラ三人の句集四冊が机辺に積んであるのを、ガマの油のような汗を流しつつ睨んでおります。正木ゆう子『夏至』もあるし。いやほんと、睨んでるだけで何もしてませんが。
関悦史さんの「閑中俳句日記」は都合により月内はお休みします。
■中村安伸
先週号の表紙に使った写真の被写体は、お気づきの方も多いと思いますが、奈良美智の彫刻「プーケット・ドッグ」です。設置場所はタイ王国プーケット島の西岸、パトンビーチというところです。ここは過日インド洋大津波で大きな被害を受けた場所であり、復興を祈念し作られた像と聞きおよびます。
すなわち私はそこへ行ってきたわけですが、数日間ビーチに寝そべって読書などしていたら、大変な日焼けをしてしまいました。身体の皮があぶらとり紙みたいに薄く剝けるのが面白いです。ここまで焼けたのは小学生のときの夏休み以来だと思います。
今週の表紙写真は、同じプーケット島で撮影したものです。
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