tag:blogger.com,1999:blog-4734103401000226006.post4935715824402939337..comments2023-05-14T20:15:48.690+09:00Comments on ―俳句空間―豈weekly: 遷子を読む(41)yasnakamhttp://www.blogger.com/profile/08671629243313330081noreply@blogger.comBlogger1125tag:blogger.com,1999:blog-4734103401000226006.post-77714257735425097632010-01-14T02:07:05.569+09:002010-01-14T02:07:05.569+09:00興味深く、かつ趣き豊かな佳句ですね。好きです。
しづけさに山蟻われを噛みにけり 遷子
黒南風に嫌...興味深く、かつ趣き豊かな佳句ですね。好きです。<br /><br />しづけさに山蟻われを噛みにけり 遷子<br />黒南風に嫌人癖の亢ずる日 遷子<br /><br />これは、一般には、石田波郷が「高原派」をほめた、という例に挙げられています。同時に、次第に「叙述派」→ 生活諷詠へ傾くことを警戒した、そうですね。ともかくある幾つか解釈可能な意味を含んだものらしい。自然観照・・それだけにとどまらない遷子の内面を推し量っているという諸氏の鑑賞に私も異存のあるべくもなし、ということです。<br /><br />しかしながら、諸氏の熱心な純粋な読書姿勢に触発されて思うことがすこしでてきました。述べさせてください。<br /><br />窪田さんの理解にはじまって、。「開放された状態で、高牧の自然に感動して山蟻も感動して」、と、自然の環境の暗黙の働きかけを強調されます。<br /> それは、作品中の言葉の置き方からみたときに、どういうときに、開放された「一人」の自己を自意識の表出として遷子は感じているのですか?<br /><br />*「しづけさに」・・を「ゆえに」と解釈したところからくるのですか?<br />*「山蟻」(が)という本来人畜無害のはずの小動物が「噛みにけり」呂云うところからですか?<br />*ほかならぬ「われを」(他に人が居たかも知れません、しずかだなあ、なんて語りあっていたかも。)噛んだからでしょうか?<br /><br />私は、じつは、この俳人の内面性の吐露の仕方に興味があります。この人は孤独をいいつつ、常に一人でいることはないように見えるのです。<br /><br />彼のしづけさの自覚は、「山蟻が」自分を「噛む」この痛覚からきています。これが句作の動機だった、と思います。身体感覚(痛覚)が、周囲のしづけさに気づかせた・・反転してそのアクシデントによって自分の位置に気づいた・・それほど、周囲も静かで、本人も無心だった、と云うことでしょうけれど。「山蟻」も何も憤っているのではなく、そこに障害物があるので、習性として噛んだに過ぎません。その山蟻に攻撃性(磐井さんの言う「蟻の社会性」)を見たように書かれているのは、彼が一人の意識ではない、と言うことの証なのではないかと、おもうのです。<br /><br />また、遷子は、吟行していたと言うことなので、「一人ゐて泉のほとり風つどふ」と言うときには、複数の同行者に対する意識がどこかに尾を曳いています。かえって強くはたらき、反動として強くひとりを意識するのではないでしょうか?<br /><br />で、磐井さんが、「山蟻の社会性」というような言い方をしていられて、冗談にしろ、今回の遷子を読むコンセプトに触れています、この結論部は、すこし強引だと思います。<br /><br />むしろ、この自他の書き方について、皆さんはどう意識されておられますか? <br /><br />「山深く花野はありて人はゐず 遷子」という句が以前取り上げられました。「黒南風に嫌人癖の亢ずる日」も、そこに近い心境の句でしょう。<br />中西さんなども、いくぶんはその周辺に意識が及んでおられるようですが(「この句は、自分を詠っていながら、自己表現にストイックなようです」中西)。<br />こういう句にあっては、相馬遷子の人性と言うべきもののあらわれに私の興味がふと注がれます。<br />自己表現がストイック、登場人物のひとり、と言うのは、つまり、遷子の場合は自意識のみの表現ではなく、「自己と他」他者との関係の中で一人とか嫌人癖が生じることを、図らずもいい止めているように思えるのです。そうかんがえると、「山蟻」も、じつは、一人にさせてくれない他者の闖入と言うことになります。(ストイックというのは、その現れでしょう。)<br /><br />私自身、あまり整理したいいかたではありませんことをお詫びしつつ、のいうえで。<br />自己、自然、他者、の関心の強度について、もうすこし突っ込んだご意見が窺えたら幸甚です。堀本 吟Unknownhttps://www.blogger.com/profile/00150502238276483466noreply@blogger.com